『ハイスコアガール』はSNKのゲームを「引用」していると主張してみる
『ハイスコアガール』はSNKのゲームを「引用」していると主張してみる
0. 許諾を得ていないのに©マークを詐称したのは違法
お帰りください。→ 『ハイスコアガール』問題で浮き彫りになった、著作権の理解度の低さ - KAI-YOU.net
0. 模写しているので引用じゃない*1
後述する引用の要件にそのような項目はない。
その論法だと、歌詞や談話や講演を引用する際には音源や映像を掲載することが必要となり、京極夏彦氏の小説を引用する時は版面を貼り付けなければいけなくなる。また本作でゲーム画面のスクリーンショットを貼り付けていたらマンガとして成立しないので、必然性のある表現方法であるといえる。
さて、引用の要件とは。
1 既に公表されている著作物であること
2 「公正な慣行」に合致すること
3 報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
4 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
5 カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
6 引用を行う「必然性」があること
7 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)著作権テキスト~初めて学ぶ人のために~平成23年度 §8. 著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合 ⑧ ア、「引用」(第32条第1項))
1. 既に公表されている著作物であること
2. 「公正な慣行」に合致すること
定義が曖昧なため保留。
3. 報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
『ハイスコアガール』はフィクションであり、「報道,批評,研究」ではない。
しかし本項の主眼は「目的上「正当な範囲内」であること」。よってOK。
また、「など」にはフィクションも含まれると解釈できる。JASRACと文藝家協会は小説においても「引用」が成り立つとしている。*2
JASRACは,文藝家協会との間で小説における引用に関し,楽譜については2分の1以内,歌詞については1節以内と「引用」の場合の量的制限を設けていたことから,同様の考え方の適用を主張していた。今回の合意では,著作権法32条の「引用」は,その量だけで判断すべきではなく,全歌詞でも引用として判断される場合もありうることを確認している。日本雑誌協会 日本書籍出版協会50年史 第4章 知的財産権・出版者の権利 D―2 著作権管理団体との関係 *音楽作品の引用
4. 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
OK。いわゆる二次創作とはここが決定的に違う。
5. カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
枠線やゲーム機器で区切られずに本編キャラクターと並び描かれる場面があるが、マンガとしての文脈上明確なのでOK。
6. 引用を行う「必然性」があること
『ハイスコアガール』の主題とストーリーからしてSNK作品に言及するのは必然なのでOK。
7. 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
巻末のリストによりOK。章やページ数の表示は不可能なので要求できない。歌詞の引用時も曲のタイトルを書けば充分とされている筈。
と、無理矢理主張してみたが、スクエニが上記の内容で争ったら、ひくな。
最も重要な原則は、著作権者の意思が尊重されることだと考える。それはそれでSNKとSNKプレイモアの関係から微妙な感じになるのだが。
この状況は、読者も押切蓮介氏もSNKでゲーム作った人も、誰も幸せにならない。スクエニが仕事をせずSNKプレイモアが仕事をしただけなので、スクエニが今から仕事をしてちゃんと続きが読めるようにしてほしい。
あと、もしもフェアユース規定があれば、SNKプレイモアの利益を損なっているとは考えられないので認められるケースなのかなーと思う。
*1:id:lastlineさんがサザエさん事件を引いて引用じゃないと主張しているのはよく意味が分からない。
*2:小説やマンガで歌詞を使うたびに「JASRAC出XXXX」などと表記するのは本来不要という議論をどこかで見た記憶があるのだが、探しても見つからない。
創業が古い老舗の書店・出版社
創業が古い老舗の書店・出版社
閉店する電子書店について書いたので、リアル書店についてもまとめたいのだが、地方に行くと把握できなさそう。
新刊書店に限りたいと思うが、昔は古書店との区別があまり無かったりする。出版社との区別すら無い。
現存、または近年に廃業したところに限る。
随時更新予定。
書店
- 1689年 山形・八文字屋
- 1765年 和歌山・帯伊書店
- 1783年 甲府・柳正堂書店(伊勢屋 / 1854年〜現屋号)
1820年 新潟・北光社(2010年閉店)- 1861年 久留米・菊竹金文堂(二文字屋 / 1892年〜現屋号)
- 1869年 東京・丸善
- 1872年 浜松・谷島屋
- 1872年 島根・今井書店
- 1874年 熊本・長崎書店(長崎次郎書店)
1875年 和歌山・武田書店(2014年閉店)- 1876年 埼玉・須原屋
- 1881年 東京・三省堂書店
- 1885年 東京・教文館
- 1890年 東京・東京堂書店
- 1891年 東京・山陽堂書店
1893年 和歌山・宮井平安堂(2011年閉店)1894年 金沢・紀陽館森井書店(2020年閉店)- 1899年 福井・ひしだい書店
1903年 小樽・工藤書店(2016年閉店)- 1905年 盛岡・東山堂
1914年 神戸・海文堂書店(2013年閉店)- 1923年 豊橋・精文館書店
- 1927年 東京・紀伊國屋書店
書店
- 1750年 京都・竹苞書楼
出版社
- 慶長年間(1596〜1615年) 永田文昌堂(菱屋文昌堂)
- 慶長年間(1596〜1615年) 平楽寺書店
- 慶長年間(1596〜1615年) 法藏館(丁子屋 / 1850年〜分家)
- 1659年 檜書店(山本長兵衛 / 1898年〜檜屋 / 1928年〜現屋号)
- 1857年 吉川弘文館
- 1877年 有斐閣
- 1878年 春陽堂書店
- 1886年 河出書房(岐阜成美堂)
- 1886年 中央公論
- 1886年 冨山房
- 1887年 博文館
- 1890年 東京堂出版
- 1892年 創元社(矢部晴雲堂)
- 1896年 新潮社
- 1896年 明治書院
- 1897年 実業之日本社
- 1903年 婦人之友社
- 1905年 美術出版社(2015年民事再生)
- 1909年 講談社(大日本雄弁会)
- 1912年 明治図書出版
- 1913年 岩波書店
- 1914年 平凡社
- 1915年 白水社
- 1916年 雄山閣(国史講習会)
- 1918年 大修館書店
- 1922年 小学館
- 1923年 文藝春秋
- 1926年 集英社
改造社は1919年だが現在は改造社書店のみ。博文館は博文館新社だけど一応継続しているとしてよいか。河出書房新社と中央公論新社もあるし。
電子書店の墓場
電子書店の墓場
電子書籍元年(1回目)
- シャープスペースタウン・ザウルス文庫(1999〜2006)運営:シャープ
「Sharp Space Town for Zaurus」は、諸般の事情により、2006年3月31日(金)をもって終了させていただきました。no title
- ビットウェイブックス(2000〜2013)運営:ビットウェイ
『ビットウェイブックス』は、2013年3月末をもちましてサービスを終了させていただきました。電子書籍の総合書店 ビットウェイブックス 無料立ち読みOK!
- PDABOOK(2001〜2015)運営:ミュージック・シーオー・ジェーピー
電子書籍ストアの老舗「PDABOOK」が11月30日をもってサービスを終了することを発表した。電子書籍ストア「PDABOOK」が15年の歴史に幕。再ダウンロード期限は12月7日まで
電子書籍元年(2回目)
- Timebook Town(2004〜2009)運営:ソニー
- SpaceTownブックス(2006〜2011)運営:シャープ
2011年9月30日(金)13時 電子書籍の販売を終了電子書籍の本屋さん Space Townブックス
PlayStation®Store内のコミックカテゴリでのコンテンツのご購入は、2012年9月末日にサービス終了とさせていただき、ご購入いただいたコンテンツの再ダウンロードにつきましては2012年12月をもって終了とさせていただく予定となっております。no title
電子書籍元年(3回目)
- Raboo(2011〜2013)運営:楽天
Rabooサービスは2013年3月31日をもって終了させていただきました。no title
既存のユーザーには購入金額の10%に相当する楽天スーパーポイントをプレゼント。また、2013年1月22日までに「kobo Touch」を追加購入するユーザーには、Rabooでの購入金額の40%相当のポイントと、kobo Touchの3,000円割引クーポンをプレゼントする。楽天、電子書籍サービスRabooを2013年3月いっぱいで終了 ?サービス開始から13カ月 - PC Watch
- TOP BOOKS(2011〜2013)運営:NECビッグローブ
本サービスは、2013年9月26日(木)をもちまして終了させていただくことになりました。【魚拓】TOP BOOKS ?ポケットの中の本屋さん?
2014年2月24日(月)をもちまして、エルパカBOOKSでの電子書籍サービスの提供を終了することとなりましたのでお知らせいたします。
(中略)
これまで弊社電子書籍サービスをご利用いただいたお客様へ、Pontaポイントによる過去ご利用いただいた購入金額をPontaポイントにて返金するサポートを実施予定です。 no title
- 地球書店(2011〜2014)運営:NTTソルマーレ
2014年3月31日(月)午前10時をもちまして、サービス提供を終了させていただくことになりましたのでお知らせいたします。
(中略)
ご希望のお客様には、2014年1月31日11時までに「地球書店」でご購入頂きました作品の購入金額分について、弊社がスマートフォン/PC/タブレット向けに提供します電子書籍配信サイト「コミックシーモア」にてポイントを進呈させて頂きます。(サービス終了時(2014年3月31日午前10時)までのお申込みが必要です)お探しのページが見つかりませんでした | NTTソルマーレ株式会社
以下追記。コメント欄も参照のこと。
- ヤマダイーブック(2012〜2014)運営:ヤマダ電機 →やまだ書店
ヤマダ電機の電子書籍サービス「ヤマダイーブック」が7月31日に閉鎖され、購入した書籍が同日以降、閲覧できなくなる。no title
ヤマダ電機の電子書店「ヤマダイーブック」が7月末に終了するのに伴い、購入した書籍が閲覧できなくなると告知した問題で、同社は5月29日、コンテンツは新サービス移行後も引き続き閲覧できるよう調整していることを明らかにした。no title
なお、現在のところ引き継ぎに関しては明らかにされていない。no title
- TSUTAYA.com eBOOKs(2011〜2014)運営:カルチュア・コンビニエンス・クラブ →BookLive!*1
このたび、「TSUTAYA.com eBOOKs」は、2014年10月31日(金)に販売を終了、2014年12月31日(水)をもって全てのサービスを終了させていただくことになりました。
(中略)
これまでご購入いただいたコンテンツについては、2015年1月中旬(予定)より、株式会社BookLive(以下「BookLive社」といいます)の運営する「BookLive!」(http://booklive.jp/)サービスにて、引き続き閲覧いただけます。
※一部、引継ができないコンテンツがございます。ご購入いただいた中に引継できないコンテンツがあった場合は、購入金額分を「1円=1ポイント」とし、Tポイントにて返還させていただきます。404 Not Found
- BookGate(2010〜2015)運営:廣済堂
BookGateシリーズのアプリ、および電子書籍アプリは、2015年6月30日(火)をもってコンテンツの販売を停止し、2015年8月31日(月)にすべてのサービスを終了いたします。
現在お使いの端末にダウンロードしていただいたコンテンツは、引き続きお読みいただけますが、場合によってはコンテンツがお読みいただけなくなるケースもございます。no title
- BooksV(2011〜2015)運営:富士通
2011年6月のサービス開始から4年間、皆様にご愛顧いただきましたBooksVですが、2015年9月29日(火)をもって全てのサービスを終了させていただくことになりました。
(中略)BooksVをご利用のお客様に今後も電子書籍をお楽しみいただくために、丸善・ジュンク堂書店・文教堂と連携したハイブリッド型総合書店「honto」で利用できるポイント、または「honto電子書籍ストア」での購入時に割引となるクーポンを進呈しております(内容はお客様のご利用状況により異なります)。
- Book Place(2011〜2015)運営:東芝
株式会社東芝は、電子書籍ストア「Book Place」および「Book Place for U-NEXT」の事業を、9月30日より株式会社U-NEXTに譲渡すると発表した。東芝、電子書籍ストア「Book Place」をU-NEXTに事業譲渡
KDDI株式会社は、電子書籍ストア「LISMO Book Store」を2016年4月30日に終了すると発表した。KDDIの電子書籍ストア「LISMO Book Store」、来年4月末でサービス終了
- c-shelf(2012〜2016)運営:トーハン
11月で電子書籍店頭販売システム「c-shelf」を停止する。「c-shelf」は2012年12月に開始。メディアドゥの電子書籍サイト「スマートブックストア」と連携し、トーハン取引書店の店頭で電子書籍が購入できるサービス。トーハン、「c-shelf」停止へ
- Neowing電子書籍ストアサービス(2012〜2022)運営:ネオ・ウィング
Neowing電子書籍ストアは2022年3月末をもちましてサービスを終了させて頂くこととなりました。
(中略)これまでにご購入頂いたコンテンツにつきましては、2022年2月中を目処に、株式会社ブックウォーカーが運営する電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」にて、引き続きご覧頂けるように致します。
- mibon(2013〜2023)運営:未来屋書店
2023年8月31日をもちまして、 「mibon電子書籍」「mibon本通販」サービスを終了させていただくことになりましたのでお知らせいたします。
(中略)ご希望のお客さまには、「mibon電子書籍」ご購入のコンテンツを大日本印刷株式会社運営の「honto」で閲覧が可能になる移行手続きサービスを準備中です。
*1:TSUTAYA GALAPAGOS(2010〜2011)運営:カルチュア・コンビニエンス・クラブ/シャープ →GALAPAGOS STOREというのもある。サービスとしては途切れずに継続。 http://www.sharp.co.jp/corporate/news/110927-a.html
流通業者が自社を批判する書籍・雑誌を販売拒否する話
流通業者が自社を批判する書籍・雑誌を販売拒否する話
未来屋書店、ミニストップ(イオン)
今週発売された「週刊文春」が、流通大手のイオンが販売した弁当に国産と偽った中国産のコメが使われていた問題を巡る記事を掲載したことに対して、イオンは、「記事の内容は事実に反する」として全国の店頭から雑誌を撤去したことを明らかにしました。エラー|NHK NEWS WEB
というニュースがあったので記憶を掘り返す。
猥褻や個人情報はまた別の話。
セブンイレブン
自由な社風で知られる毎日新聞社においてさえ、経済誌『週刊エコノミスト』(2005年6月28日発売号)がこの問題を報じようとしたところ、セブン本部の圧力がかかった。巨大スポンサーの圧力に屈した毎日は、既に印刷段階に入っていた署名論文の一部を、著者に無断で削除している。
その裏事情を報じた『週刊新潮』によれば、セブンの常務と広報部長が押しかけてきて、社長室長らが対応。編集長が改竄を受け入れ「コンビニの優良企業と言われているセブンイレブンの詐術は、豊田商事以上である」などの部分を削除した。セブンイレブン廃棄ロス訴訟、本部敗訴も報道されず:MyNewsJapan
発売前に情報を得て圧力をかけて記事修正させた。
トーハン
書籍取次大手のトーハンが、週刊金曜日取材班と古川琢也氏の共著『セブン−イレブンの正体』の配本にストップをかけたことが、師走の出版業界に波紋を呼んだ。批判されたセブン−イレブンが自らの店先から同書を締め出すならわかるが、なぜ、出版流通の元締めのトーハンが配本を拒絶するのか。関係筋によれば「セブン−イレブンの盟主である鈴木敏文氏がトーハンの取締役副会長を務めており、その告発本を扱うわけにはいかないと週刊金曜日側に通告してきた」という。セブン‐イレブン批判本を「封殺」するトーハン:FACTA ONLINE
二大取次のトーハンが配本拒否。書店から注文があれば取り次いでいた。
iTunes App Store(Apple)
Appleについて書かれたものもアウトです。大谷和利さんの「iPhoneをつくった会社」と「iPodをつくった男」、2つともリジェクトでした。その理由は、現社員、元社員であろうと、Appleの社員にかかわるもの、製品にかかわるものは一切ダメ、と。電子コミック「働きマン」が配信拒否になった理由--電子書籍時代の検閲 - page2 - builder by ZDNet Japan
批判していなくても内容にかかわらずNGと。
本の値引きとポイントサービスについての補足(大学生協について)
本の値引きとポイントサービスについての補足(大学生協について)
STOP!! Amazon!! ●出版社へ呼びかけ: 日本出版者協議会の記事が話題になっていて、これは繰り返しネタなので基本的な背景説明としては はてなグループの終了日を2020年1月31日(金)に決定しました - はてなグループ日記 - 機能変更、お知らせなどをお読みいただきたい。
で、Amazonのサービスが学生対象ということで、関連ニュースも含めてブコメに「大学生協の割引販売は?」という疑問が散見される。
「生協の学割は良い学割!amazonの学割は悪い学割!」という謎の主張。この理屈を詰めると美術館や交通機関の学割にもケチをつけることになるんだが… http://b.hatena.ne.jp/wbbrz/20130814#bookmark-157670662
同じ学生対象でも大学生協は◯でAmazonが☓というロジックは果たして受け入れられるのだろうか。http://b.hatena.ne.jp/mr4970chun/20130813#bookmark-157670662
大学生協も1割引きやん……http://b.hatena.ne.jp/sin-idea/20130813#bookmark-157670662
大学生協の割引は良くてamazonは駄目?謎。http://b.hatena.ne.jp/kappaseijin/20130814#bookmark-157670662
amazon の学割を dis るなら、大学生協の書籍1割引はなんで黙殺してるの?http://b.hatena.ne.jp/hatekun_b/20130814#bookmark-157758238
大学生協については上記エントリでも触れているが、「大学」だからOKじゃなくて、「生協」だからOKなのである。学割とは違う。大学じゃない生協(404 Not Found)でも5%引きで売っている。よく分からんが消費生活協同組合法に則っていて営利企業じゃないんだろう。(cf. no title)
次に、じゃあ生協を持たない大学に紀伊國屋書店や丸善が出している書店は? ということになるが、
うちの大学の地下に入ってた紀伊国屋書店だって1割引で売ってましたがな…http://b.hatena.ne.jp/wideangle/20130814#bookmark-157670662
これは大学に対する外商の一部として行われていると考えられる。外商では値引きOKなのである。
(2) 甲が認めた場合における、定期刊行物・継続出版物等の長期購読前金払い及び大量一括購入、その他謝恩価格本等の割引 再販契約書(出版-取次)(PDF)
この「大量一括購入」に当たる。大学は研究費とか図書館予算とかで大量に本を買うから。
Amazonは生協ではないし、大量一括ではなく個別の学生ユーザーに販売している。
つまりAmazonが契約違反をしているのであって、日本出版者協議会が正しい。日本出版者協議会の主張が気に入らないなら、先に法律と契約を変えろ、公取委仕事しろ、という話。
日本って世界的に見ても書籍は安い国。なんでも規制をなくせば消費者が得をするってもんじゃない。一時的に下がったとしても結果高くて種類の減った書籍を買わされるのは消費者。http://b.hatena.ne.jp/kawango/20130814#bookmark-157808574
本の値引きとポイントサービスについて
本の値引きとポイントサービスについて
no titleという記事がITmediaに出ていて、内容が中途半端でブコメも混乱しているので整理してみる。
再販制
まず「再販制」についても用語を誤解している人が時々いるんだけど、メーカーが小売店に対して小売価格を強制する「再販売価格維持行為」は、独占禁止法違反となる。それが「適用除外」として違法じゃなくなる品目が公正取引委員会によって指定されていて、出版物が含まれるのである。
そのため出版社-取次-書店の間で「再販売価格維持契約」が結ばれて価格拘束が行われている。法律による強制ではなく、任意の契約だ。
大学生協
また、共済組合や生活協同組合は独禁法第23条5項の規定により再販契約を遵守する義務を負わない。そのため、大学生協などでは再販商品であっても値引きが行われている。no title
つまり「再販売価格維持契約」を生協は結んでいない、あるいは無効となる。*1 *2
Amazonの場合
そしてアマゾンも「再販売価格維持契約」を締結しており、上記の通り合法な契約である以上、遵守しなければならないというのが日本出版者協議会(旧・流対協)の主張だ。
ポイントサービス
実際に行われているのは値引きではなくポイントによる還元なんだけど、出版物のポイント制度はどうなのか(事実上の値引きではないのか)、という点については、「出版物小売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」(PDF)というものがある。
「出版物小売業公正取引協議会」なる業界団体の決めた自主ルールだが、この団体も規約も公正取引委員会に認定されている。
要約すると
- ポイントによる還元は2%までOK
- 年2回・90日以内の期間限定なら、7%までOK
これを超えるポイントはダメ、というルールが書店に課せられている。消費者利益に反するルールだが、公取委のお墨付きがある、という再販制と同じ状況だ。*3
書店のポイントカード*4はいくつかあるけど、これに沿って運用されている。
Amazonの場合
でアマゾンの主張は
「公取委には話をしており、商品を買うときにポイントを利用する以外に、景品を選択することもできるようにした」お探しのページが見つかりませんでした「 Commodity E101926 」
であって、具体的に何を指すのかよく分からないんだけど、書籍以外の商品にもポイントが使えるから値引きじゃないよ、てことじゃないかと推測している。
でもそれを言ったら他の書店もDVDや文房具を扱っていれば同じ理屈が通るので「出版物小売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」は無実化するんじゃないかと思う。
ともあれ「公取委には話をしており」というのがポイントだ。自ら認定した公正競争規約に反する行為を認めてしまったようにも見える。
まとめ
公取委が出版物の再販制をやめたいと考えていながら廃止しないのが混乱の元だよねぇ。
公正取引委員会の著作物再販適用除外についての考え方でございますが,これは平成 13 年に考え方を公表しているところでございまして,この適用除外は廃止するべきであると考えていることには変わりはございません。著作物再販協議会(第8回会合)議事録等の公表について
アマゾン・キンドル日本上陸の歴史
アマゾン・キンドル日本上陸の歴史
2008/04/15
2009/11/29
アマゾンのプロダクトマジメントディレクターのチャーリー・トリッツシュラー氏は、09年10月21日の日経産業新聞で
「日本ではまず、28万冊の英語書籍に加え、フランスやスペインなどラテン語系の新聞記事を提供する。いつとは言えないが、日本語を含むあらゆる言語の電子書籍を提供することを視野に入れている」
と述べており、日本語版の登場もそう遠くはない様子だ。no title
2010/01/07
というのも、昨年英語版が日本でも購入できるようになったアマゾンの「キンドル」が、いよいよ日本語でのサービスを2010年第4四半期にも開始するという情報が流れているからです。no title
2010/09/16
電子書籍の企画や代理販売を行っているイーパブス・ドット・ジェーピー出版のサイト(特に原稿募集のお知らせ)に、かなり踏み込んだ情報がいろいろ記載されており、一部で話題になっている。*1
・Kindle日本語は(2010年)11月にオープンする。
・iBookStore日本語ストアは現時点で未定
・日本語印税は35%タイプのみ。(米国では70%タイプがある)
かなり、おおっ、という情報で驚きだ。no title
2010/10/05
出版業界では、昨年後半には「(2010年)年明け早々に上陸する」との説が流れ、年明けには「(2010年)夏には日本語書籍のストアができるのではないか」との“早期襲来説”が語られた。が、連続して肩すかしになったことから、今では「日本への上陸はしばらく先」「中国市場を優先する可能性が高い」という“日本パッシング説”も流れる始末だ。
が、周辺を取材すると、キンドルは今年(2010年)の年末から来年(2011年)年初にかけて日本へ本格上陸を果たす可能性が高そうだ。エラー | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン
2010/11/05
ここに来て2010年12月発売という憶測が広がってきた。筆者としてはかなり確度が高いと考えている。
2010年9月初頭、筆者が独自に入手した某最有力情報筋から「日本でキンドルを利用できる準備を進めている」と明言を受けた。その後も、出版関係者から何度も「2010年12月にキンドル向け日本語サービスが開始される」という発言を聞いている。失言なのかどうか不明だが、訂正をしていないことを見ると公知の事実というくらい浸透している情報なのだろう。
また、本日11月5日の朝日新聞(Asahi.com)の「電子書籍と紙の本、両方売るサイト 紀伊国屋が開設へ」という記事でも、時期こそずれているが以下のように明記されている。
米アマゾン社の電子書籍専用端末「キンドル」の日本版が来年(2011年)には発売される見込みで、その前に市場の主導権を握るのが狙いだ。Amazon.co.jp「キンドル」2010年12月発売の可能性【@maskin】 | TechWave(テックウェーブ)
2011/01/30
アマゾンのキンドル日本市場参入、「1年後にサービス開始」というならまだしも、「1~2年はやりません」というニュアンスだった様子。no title
2011/09/13
聞こえてくるところでは、Amazonはすでに国内の出版社と契約を交わす段階にまで進んでいるようで、早ければ数カ月以内にもKindle Storeが国内でも開始されそうです。no title
2011/10/20*2
インターネット通販で世界最大手の米アマゾン・ドット・コムは日本で電子書籍事業に参入する。小学館、集英社など出版大手と価格設定などで詰めの交渉に入っており、(2011)年内にも日本語の電子書籍を購入できるサイトを開設。
(中略)
アマゾンは講談社、新潮社などとも交渉しており、1~2カ月以内に数社との契約を目指している。中堅出版のPHP研究所(京都市)とは合意した。no title
インターネット小売り最大手の米アマゾン・ドット・コムが、年内にも日本での電子書籍事業を始める準備を進めていることが、20日分かった。
(中略)
アマゾンは、国内の出版社43社で作る「日本電子書籍出版社協会」に対し、19日に国内市場への参入方針を伝えた。すでにPHP研究所(京都市)と約1000点の書籍を電子化して販売することで合意したほか、講談社など大手出版社と個別に契約交渉を進めている。no title
米インターネット通販最大手アマゾンが日本で準備を進める電子書籍事業に、中堅出版社のPHP研究所(京都市)が参加する意向を固め、今月中にも正式契約する方針であることが20日、わかった。
(中略)
関係者によると、PHPは今年5月、年内の電子書籍販売を念頭にアマゾンと合意。アマゾンが提供する電子書籍サービス「キンドル」用に加工するため、PHPはすでに文芸書や実用書など約1千点の電子データを提供した。
(中略)
サービス開始の時期について、当初は今年夏をめどにしていたが、具体的な日程は決まっていないという。どんなコンテンツをお探しですか?:朝日新聞デジタル
インターネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムが、日本市場参入に向け、複数の出版社と契約合意したことが20日、分かった。
(中略)
PHP研究所(京都市)と基本合意に至ったほか、「現時点で大手を含む複数の出版社が合意している」(出版社幹部)という。“黒船”キンドル襲来に戦々恐々 アマゾン、電子書籍で日本参入 (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)
小学館は「(1)交渉の提案は受けているが、進展しておりません。(2)交渉内容や時期については、守秘義務があるのでお答えできません」などと回答。講談社も「交渉しているのは事実」「守秘義務がある」と答えた。
ほかに、集英社は「報道されている事実はありません」。またPHP研究所は、担当者と連絡が取れなかった。アマゾンジャパン(東京)は「今回の件でコメントは出していない」とのことだった。no title
日経が「詰めの交渉」中と報じた小学館や集英社では、それぞれ「交渉は進展しておらず、内容も守秘義務があるのでお答えできません」「(日経で)報道されている事実はありません」とだけコメント。交渉中という講談社でも、「契約状況はまったく明かせません」とした。一方、日経がアマゾンと合意したと報じたPHP研究所(京都市)は、その報道を否定。検討中ではあるものの、まだ合意していないとし、内容については、「守秘義務がありますので、一切話せません」と言っている。no title
2011/12/26
米インターネット通販大手アマゾン・コムが年内のスタートを目指していた日本での電子書籍配信サービスの開始時期が、来年(2012年)以降にずれ込む見通しとなったことが26日分かった。no title
2011/12/26
米インターネット通販大手アマゾン・コムが年内のスタートを目指していた日本での電子書籍配信サービスの開始時期が、来年(2012年)以降にずれ込む見通しとなったことが26日分かった。
(中略)
2011/12/27
Amazon's new target date for launching an e-book service in Japan could be next spring (2012), they said.no title
(はてなグループの終了に伴い、エクスポートデータから欠落して復元できませんでした。)